土地の賃貸の地代相場は?借地権の種類や賃料の計算方法も解説

「土地の賃貸で賃料を得たいが、相場がわからない…」と悩む方もいるのではないでしょうか?

地代の適正価格がわからないと、土地を安く貸し出す可能性があり、長期的な損失につながります。

そこで本記事では、土地の借地権の種類や賃料の相場、計算方法、その他の支出などを解説します。

借地料の相場がわかると、安く貸すことによる損失を防ぐことや、借主を早く見つけることが可能です。

なお、土地貸しにより金銭的な利益を重視する方は、ビジネスを検討してみてください。余った土地を活用して、大きな収益をあげられる可能性があります。

土地を有効活用したいと考えている方は、ぜひ本記事をお読みください。

土地の賃貸契約(借地権)の種類

土地の賃料を知るには、借地権について把握しておくことが重要です。借地権の種類により地代相場は変化します。

以下に借地権の種類をまとめました。

借地権の種類 普通借地権 定期借地権
一般定期借地権 建物譲渡特約付借地権 事業用定期借地権
契約期間 30年以上 50年以上 30年以上 10年〜50年未満
契約形式 規定なし 書面 規定なし 公正証書
利用目的 規定なし 規定なし 規定なし 事業用
契約更新 1回目:20年

2回目以降:10年

なし なし なし
契約終了事由 正当事由 期間満了 建物譲渡 期間満了
建物買取請求 あり 原則なし あり 原則なし

普通借地権は、地主の権利が制限されており、借主次第では契約が更新され続ける可能性があります。

そのため、土地貸しでは定期借地権が利用されるケースがほとんどです。定期借地権だと、契約満了後に土地を取り戻すことが可能です。

定期借地権には「一般定期借地権」と「建物譲渡特約付借地権」「事業用定期借地権」の3種類があります。

このうち、一般的に利用されているのは「一般定期借地権」と「事業用定期借地権」です。

関連記事:土地を貸すメリット・デメリット8選!おすすめの土地活用方法3つも紹介

土地の賃料(借地料)の相場

土地の賃料(借地料)の相場は、土地に建てる建物の種類や借地権によって変わります。

それぞれの地代相場は以下の通りです。

借地権の種類 借地料の相場
普通借地権 土地価格の1%未満(固定資産税の3倍ほど)
定期借地権(住宅用) 土地価格の2〜3%
定期借地権(店舗/事業用) 土地価格の4〜5%(相続税路線価の6%)

本章では、それぞれの借地権の概要とその相場について解説します。

1. 普通借地権の相場

普通借地権とは、初回の残存期間が30年、1回目の更新後が20年、2回目以降が10年になる借地権です。

賃貸借契約の契約期限がきても、地主に土地を返してもらう正当な理由がないと、借地人が望む限り借地契約が更新されます。

普通借地権の賃料相場は、固定資産税の3倍に設定されることが多く、それは「土地価格の1%未満」とされています。

ただし、地代相場が安い代わりに、借地人は土地を借りる際に、地主に多額の権利金を支払わなければなりません。

2. 定期借地権の相場

定期借地権は、1992年の借地借家法によって定められた制度です。普通借地権と異なり、契約期間が定められています。

定期借地権には、3つの契約形態があり、それぞれ借地料の相場が異なります。

定期借地権の種類 借地料の相場
一般定期借地権 土地価格の2〜3%
建物譲渡特約付借地権 土地価格の2%ほど
事業用定期借地権 土地価格の4〜5%(= 相続税路線価の6%ほど)

ここでは、それぞれの定期借地権の概要と相場について解説します。

2-1. 一般定期借地権

一般定期借地権とは、契約期間が50年以上の借地契約です。建物用途に制限はありませんが、一般的に事業用ではなく、居住用として利用されます。

一般定期借地権の地代相場は土地価格の2〜3%です。

借主が収益事業を行っていなく、地代の支払い能力が事業者に比べて低いことから、相場が低めに設定されています。

2-2. 建物譲渡特約付借地権

建物譲渡特約付借地権とは、借地契約締結から30年以上が経過した時点で、借地上の建物を地主が買い取る特約を結ぶ契約です。地主が建物を買い取った時点で契約が満了します。

建物譲渡特約付借地権の地代相場は土地価格の2%ほどです。

たとえば、土地価格が1,000万円の場合、地代相場は年間20万円ほどです。なお、建物譲渡特約付借地権を締結されるケースはあまりありません。

2-3. 事業用定期借地権

事業用定期借地権は、商業誌施設や工場、店舗などが事業目的で土地を借りるときに結ぶ契約です。

借地料の相場は、相続税路線価の6%(土地価格の4〜5%)ほどです。これは相当地代(定価の地代)が目安にされています。

相当地代を求めるときに利用する土地価格については、国税庁が基準を設定しています。

(1) その土地の近くにある類似した土地の公示価格などから合理的に計算した価額

(2) その土地の相続税評価額またはその評価額の過去3年間の平均額

引用:国税庁|No.5732 相当の地代及び相当の地代の改訂

実務上では、土地価格を算出するために「相続税評価額」で求めることがほとんどです。

相続税評価額は、土地の時価相当額(土地価格)とされる地価公示価格の80%に当たります。

そのため、「相続税路線価の6% = 地価公示価格の80%」となり、結果的に土地価格に換算すると4〜5%が借地料の相場となります。

土地の賃貸における地代相場の計算方法

土地の賃貸における地代相場の計算方法は、以下の通りです。

計算方法の種類 計算方法
公租公課法 住宅地:借地料 =(固定資産税 + 都市計画税)× 2〜5

商業地:借地料 =(固定資産税 + 都市計画税)× 5〜8

路線価法 借地料 =(路線価 ÷ 0.8 × 1.5〜3%)× 土地面積
積算法 借地料 =(土地価格 × 利回り)+ (固定資産税 + 都市計画税)
賃貸事例比較法 周辺にある同条件の不動産の借地料を基準に算出
収益分析法 土地活用ビジネスで得た収益から借地料を算出

それぞれ具体的に解説していきます。

1. 公租公課法

公租公課法とは、固定資産税や都市計画税にもとづいて借地料を算出する方法です。

その計算式は土地が「住宅地」か「商業地」かで、以下のように異なります。

住宅地:借地料 =(固定資産税 + 都市計画税)× 2〜5

商業地:借地料 =(固定資産税 + 都市計画税)× 5〜8

上記の範囲内で貸主と借主が話し合って、借地料を決定します。

たとえば、住宅地の個性資産税と都市計画税が合計20万円での場合、年間の借地料は「20万円 × 2〜5 = 40〜100万円」で計算可能です。

住宅地で40〜100万円の借地料を徴収できます。

2. 路線価法

路線価法とは「路線価」といわれる主要な道路に面している宅地の1㎡あたりの価格にもとづいて、借地料を決定する算出方法です。

その計算式は以下のようになります。

借地料 =(路線価 ÷ 0.8 × 1.5〜3%)× 土地面積

まず路線価から更地価格を計算します。更地価格は路線価の0.8倍が目安です。借地料の相場は、更地価格の1.5〜3%ほどです。

路線価が5万円で土地面積が100㎡の場合、5万円を0.8で割って更地価格が6.25万円になります。6.25万円の1.5〜3%が1㎡あたりの地代(約938円〜1,870円)です。

938円〜1,870円に100㎡をかけると、月間の借地料が約9.4〜18.7万円になります。つまり、年間の借地料は約112〜224万円です。

3. 積算法

積算法は、元本に対して得られる年間の利益率に、固定資産税と都市計画税を加算して借地料を求める算出方法です。

計算式は以下の通りです。

借地料 =(土地価格 × 利回り)+ (固定資産税 + 都市計画税)

たとえば、借地料の計算は土地価格が3,000万円、年間の利回りが2%、固定資産税と都市計画税が20万円の場合、「(3,000万円 × 2%)+ 20万円 = 80万円/年」となります。

4. 賃貸事例比較法

賃貸事例比較法とは、周辺にある同条件の不動産の借地料と比較し、賃料を算出する方法です。

周辺にある土地の賃料の相場を複数調べて、比較して自分の借地料を決めるとよいでしょう。

周辺の相場に合わせられると、借主・貸主の双方が納得しやすい料金で貸し出すことが可能です。

ただし、土地の賃料の正確な相場を出すには、不動産会社に依頼する必要があります。

5. 収益分析法

収益分析法とは、土地活用ビジネスで得た収益から借地料を算出する方法です。そのため、住居用ではなく、事業用に土地を貸し出す場合に活用されます。

収益分析法で得られる借地料は、借主の事業の収益に左右されます。しかし、借地が企業の収益にどれだけ貢献しているのかを定量的に測るのは簡単ではありません。

そのため、土地の賃料を算出する手段として、収益分析法が用いられることは少ないでしょう。

土地の賃貸における貸主が受け取るその他の費用の相場

普通借地権において、地主は土地の更新や譲渡などの際に一定の手数料を受け取れます。

手数料の種類と相場は以下の通りです。

手数料の種類 相場
条件変更承諾料 更地価格の10%
譲渡承諾料 借地権価格の10%
更新料 年間地代の10%
建て替え/増改築承諾料 更地価格の3%

貸主にとっては借地料以外に金銭を受け取れる重要な機会です。

しかし、土地が返還される期間が長引いたり、建物の構造が変わったりするため慎重に判断しましょう。

土地を賃貸する3つのメリット

土地を賃貸するメリットは、以下の3つです。

  1. リスクなしで収入を得られる
  2. 土地の管理の手間が省ける
  3. 固定資産税と相続税の節税につながる

それぞれ順番に紹介します。

1. リスクなしで収入を得られる

土地を貸し出すと、リスクなしで地代収入を得られます。土地活用で収入を得る手段は、以下の3つです。

  • 土地貸し
  • 土地活用ビジネス
  • 土地売却

土地活用ビジネスは大きく稼げる可能性がありますが、建設費やランニングコストがかさむため、金銭的なリスクが伴います。

土地売却は一度に大きなお金を手にできますが、土地を失います。そのため、土地貸しはリスクなしで収入を得る手段としておすすめです。

2. 土地の管理の手間が省ける

土地を貸すと、管理の手間が省けます。土地を所有していると、使用しなくても草刈りや不法投棄されたゴミの除去などを行わなければなりません。

それらを放置すると、植木が強風で倒れて他人に被害を与えたり、放火の被害に遭ったりする可能性があるためです。

その結果、所有者に過失がなくても損害賠償の責任を負うことがあります。土地を賃貸すると、借主が管理を行うため、それらのトラブルを避けられます。

3. 固定資産税と相続税の節税につながる

土地を貸すと、固定資産税と相続税の節税が可能です。更地に比べて、建物が建っている土地の固定資産税は6分の1または3分の1に軽減されます。

また、借地では借地人の居住権が強く保護されています。そのため、借地の相続税評価額を計算する際に、借地権割合の分が地主の相続税評価額から差し引かれるのです。

たとえば、相続税評価額が5,000万円の土地で、借地人の借地権割合が70%だった場合、評価額は1,500万円になります。

土地を貸す3つのデメリット・注意点

土地を貸す3つのデメリット・注意点を解説します。

  1. 土地活用ビジネスに比べて収益性が劣る
  2. 土地を取られる可能性がある
  3. その他の活用方法が制限される

それぞれ見ていきましょう。

1. 土地活用ビジネスに比べて収益性が劣る

土地貸しの収益性は、土地活用ビジネスに比べて劣ります。

事業用定期借地権を締結する場合、借地料は「土地価格の6%ほど」と相場が決まっています。

また、収益分析法を活用しても、借地料は「収益の◯%」となるため、ビジネスほど稼げるわけではありません。

そのため、土地の収益性を重視するならば、地主がビジネスを行うのがよいでしょう。

2. 土地を取られる可能性がある

土地を貸すときに「普通借地契約」を締結すると、土地が返済されない可能性があります。

普通借地権契約では、契約更新の際に貸主に正当な理由がない限り、容易に契約を解除できないためです。

貸主が自分で利用するといった契約解除に値する理由があった場合に、土地を取り戻せます。

ただし、普通借地権契約における地主の権利は大きく制限されているため、一度土地を貸してしまうと、取り戻せないケースも少なくありません。

3. その他の活用方法が制限される

土地を賃貸すると、その他の活用方法が制限されます。土地を貸すと、地主の判断で売却や事業を行えないためです。

借地権契約を締結すると、数十年単位で土地を貸し出さなければなりません。その間は、地主都合で返してもらうのは難しいでしょう。

その結果、大きなビジネスチャンスを逃す可能性があります。土地の賃貸前には、ビジネスを行う余地がないかを検討することが大切です。

【重要】土地の賃貸前にはビジネスも検討しておく

土地の賃貸前には、ビジネスを行うことも検討しておきましょう。土地貸しよりもビジネスで得られる収益のほうが大きいメリットがあります。

また、土地貸しの場合、契約期間が満了すると、新たな借主が現れない限り利益を生み出しません。

しかし、土地活用ビジネスだと、期間に左右されずに利益を生み出し続けられます。

仮に事業用物件の老朽化によりビジネスを廃業しても、蓄積されたノウハウを活かして新しい事業を始められるでしょう。

長期的に大きく稼ぐならば、ビジネスのほうがおすすめです。

土地活用ビジネスならばコインランドリー経営がおすすめ

土地貸しをすると、リスクなく地代収入を得られます。しかし、土地活用ビジネスのように大きく稼ぐことは難しいでしょう。

土地活用で収益性を重視するならば、土地活用ビジネスを検討してみてください。

なかでもコインランドリー経営は、収益性と安定性のバランスが取れているためおすすめです。

しかし、コインランドリー経営の知識がまったくなく、何をどのように始めればよいのかわからない方もいるでしょう。

エレクトロラックス・プロフェッショナルでは、そのような方のために無料のセミナーを開催しています。

初心者でもコインランドリー経営の始め方がわかるようになりますので、ぜひお気軽に覗いてみてください。

お問い合わせはこちら

土地の賃貸の地代相場は?借地権の種類や賃料の計算方法も解説 2024-03-22T04:21:16+00:00 Electrolux Professional