介護の洗濯では職員や家族にできるだけ負担をかけず、服を衛生的に洗うことが大切です。
被介護者の健康を守りつつ、介護者の心身の疲労を軽減させると、最後まで質の高いケアを続けられます。
しかし、どのような洗濯方法だと双方にメリットがあるのかわからない方も多いでしょう。
そこで本記事では、洗濯物につく汚れの特徴や洗い方のコツ、食べ残し・汗シミなどの落とし方などを紹介します。
また、手洗い不要で汚物がついた服を洗浄できる小型汚物除去機「汚物ミニ」も紹介しています。
本記事を読んで、服を衛生的に洗う方法を把握し、すぐにでも負担をかけずに介護ができるようにしていきましょう。
介護で洗濯をするときの悩み
介護における洗濯の悩みには、主に汚物のニオイや汚れ、洗濯頻度の高さ、洗い方の違いなどが挙げられます。
たとえば、汚物がついた服は他の衣類と一緒に洗えないため、洗濯回数が多くなります。また、汚れに応じて洗い方が変わるため、洗濯の手間もかかるでしょう。
一方で、正しい手順で洗濯をしないと、服にニオイや汚れが残る可能性があるため、被介護者が不快感を覚えます。
介護シーンにおける洗濯では、介護者の身体・精神に負担がかかっている可能性があるため、環境を整えることが大切です。
介護で洗濯物につく汚れの特徴
介護で洗濯物につく汚れは、主に排泄物や食べこぼし、血液です。
排泄物には尿や便、嘔吐物、汗などが挙げられます。たんぱく質汚れやアンモニア臭などが特徴です。
ウイルス感染のリスクもあるため、汚れだけでなく病原菌にも気をつける必要があります。固形物の除去やつけ置きなどで、シミを取り除くことが可能です。
食べこぼしのシミは、水で落としやすい水溶性と、落としにくい油溶性に分かれます。汚れたらすぐにティッシュで拭き取り、洗濯するとシミを除去できます。
血液の汚れは、時間が経つほど固まりやすく取れにくいことが特徴です。中性洗剤や酸素系漂白剤を使用して、つけ置きなどで取ることがポイントです。
介護で衣類を洗濯するときのコツ
介護で洗濯するときのコツを把握すると、服をスムーズに洗えるようになります。
そのコツは次の4つです。
- 汚れごとに洗濯物を分ける
- 衣類をため込まずにこまめに洗う
- 洗濯機に衣類を詰め込みすぎない
- 消臭効果のある洗剤を使用する
なお、汚物がついた衣類を洗う機会が多い場合は「汚物ミニ」を使用することで、洗濯の手間を省くことが可能です。
以下の動画で詳しく紹介していますので、ぜひご参考ください。
1. 汚れごとに洗濯物を分ける
洗濯物に汚物がついている場合、ランドリーボックスを使って、汚れごとに分けることが重要です。
汚れの種類ごとに洗い方が異なるため、服をまとめて管理すると、洗濯するときに1枚ずつシミを確認して分ける手間がかかります。
また、服を汚れごとに分けると、嘔吐物や尿についたニオイやウイルスが他の衣類にうつらなくなるでしょう。
尿や便、嘔吐物、食べこぼしなどを分別できる専用ボックスを作ると、そこに入れるだけで分けられるため衣類が多くても簡単に洗濯できます。
2. 衣類をため込まずにこまめに洗う
衣類をため込まずにこまめに洗うと、シミが取れやすくなります。
服についた汚れやニオイは、時間が経つほど繊維に染み込むため、遅くとも24時間以内に洗濯することが大切です。
たとえば、血液のシミは付着したばかりだと水洗いで落とせますが、時間が経つと凝固するため酸素系漂白剤でのつけ置きが必要です。
衣類をこまめに洗うと、少ない工数でシミが取れます。洗濯機にかけられなくても、ティッシュで汚れを拭いたり水洗いしたりすることがポイントです。
3. 洗濯機に衣類を詰め込みすぎない
洗濯機に衣類を詰め込みすぎると、水流と洗剤が細部まで行き届かず、汚れが落ち切らない可能性があります。
洗濯機の扉や操作パネルに記載されている容量の範囲内で衣類を入れましょう。何人分がどのくらいの量になるのかの目安は次のとおりです。
- 1〜2人分:5〜7kg
- 3〜4人分:8〜10kg
- 5人以上:10kg以上
洗濯機に記載されている容量の範囲内に収めると、水流がしっかりと発生し、汚れやニオイを落としやすくなります。
ただし、介護施設や病院などでは洗濯頻度と量が多くなるため、専用の業務用洗濯機を使用するのが望ましいでしょう。
4. 消臭効果のある洗剤を使用する
嘔吐物の酸っぱいニオイや尿のアンモニア臭は衣服に残りやすいため、消臭効果のある洗剤を使用することが重要です。
衣類のニオイを取り除くと、不快感の解消につながります。洗濯機にかける際に洗剤を使用したり、つけ置き洗いしたりするとニオイが落ちやすくなります。
消臭効果が高い洗濯洗剤は、主に次のとおりです。(2025年6月時点)
- アリエール ジェルボール
- アタック ZERO パーフェクトスティック
- ボールド ジェルボール4D
洗濯洗剤により衣類のニオイを消して、不快感なく着られるようにしましょう。
介護でニオイがついた衣類を洗濯する方法
介護でニオイがついた衣類を洗濯する方法を理解して、服を快適に着られるようにしましょう。
以下の5ステップで解説します。
- 汚れごとに衣類をまとめる
- 汚れに合わせて衣類を洗う
- 汚れが取れたら洗濯機にかける
- 乾燥機にかける
- 除菌消臭スプレーをかける
1. 汚れごとに衣類をまとめる
排泄物や血液、食べこぼしなどがついた衣類が出たら、それらを汚れごとにまとめましょう。
洗濯の効率化やウイルスの感染防止につながるためです。介護現場では、日々さまざまな汚れがついた衣類を洗濯します。
汚れごとに洗い方が異なるため、他の洗濯物と一緒に管理すると、シミを落としきれない可能性があります。
また、介護施設の場合は、他の入居者の服に菌がうつり、感染拡大を引き起こす恐れがあるでしょう。
そのため、汚れごとに衣類を管理して、衛生状態をよく保つことが重要です。
2. 汚れに合わせて衣類を洗う
汚れの種類ごとに洗濯方法は異なるため、それぞれ適切な洗い方をする必要があります。
- 尿:つけ置き洗いする
- 便:固形物を取り除いてつけ置き洗いする
- 嘔吐物:固形物を取り除いてつけ置き洗いする
- 食べこぼし:固形物を取り除いてつけ置き洗いする
- ついたばかりの血液:サッと水洗いをする
- 頑固な血液:つけ置き洗いする
水洗いするときはお風呂や洗面所の水道水を使います。つけ置き洗いでは、桶に酸素系漂白剤と水を混ぜる(目安は水1Lに対して原液10ml)必要があります。
ただし、50℃以上の熱湯で洗うと、排泄物のたんぱく質が凝固して、シミが落ちづらくなるため注意が必要です。ぬるま湯か水で洗いましょう。
3. 汚れが取れたら洗濯機にかける
水洗いやつけ置き洗いで衣類の汚れやニオイが取れたら、洗濯機にかけましょう。
洗濯機に入れることで服全体を均一に洗えるため、シミ以外の細かな汚れやニオイも落とせます。
つけ置き洗いにより排泄物や食べこぼしの汚れが取れている場合、ウイルス感染の恐れがないため、他の衣類と一緒に洗濯しても問題ありません。
また、服を80℃以上の熱湯で洗えたり、塩素系漂白剤で除菌したりできる業務用洗濯機を使用することもポイントです。
手洗い不要で入れるだけで汚れた衣類を洗えるため、洗濯の手間を省くことが可能です。
4. 乾燥機にかける
洗濯機にかけたあとは、乾燥機にかけて服を乾かす必要があります。
ただし、乾燥機にかけるときは排泄物や血液のシミがないことを確認しなければなりません。
シミのたんぱく質が熱により凝固してしまい、さらに取れなくなるためです。
たとえば、落としたと思っていても、血液のシミ汚れが薄く残ってしまっている場合があります。その状態で乾燥機にかけると、シミが固まって繊維に深く浸透してしまう恐れがあります。
その結果、シミが落ちにくくなるため注意が必要です。
なお、シミが残っていても洗える業務用洗濯機としては「汚物ミニ」があります。以下に洗濯事例を紹介していますので、ぜひお読みください。
関連記事:汚物ミニの洗濯事例|八尾志紀マリアヴィラ
5. 除菌消臭スプレーをかける
乾燥機で服を乾かしたら除菌消臭スプレーをかけて、ニオイを取りましょう。
排泄物や血液、食べこぼしがついた部分に除菌消臭スプレーを吹きかけると、よいニオイがするため不快に感じずに服を着続けられます。
除菌消臭スプレーには「無香料」や「ハーブ」「ソープ」など、さまざまな香りがあります。
自分の好みに合わせて選びましょう。
介護シーンでおすすめの洗濯洗剤
介護シーンでおすすめの洗濯洗剤を、次の3つ紹介します。(2025年6月時点)
- 食べこぼしの汚れ|オキシクリーン
- 汗の汚れや体臭対策|ワイドハイター EXパワー
- 排泄物による汚れ|ワイドハイター PRO 強力分解パウダー
汚れの種類ごとに使える洗濯洗剤をまとめておりますので、ぜひご覧ください。
食べこぼしの汚れ|オキシクリーン
オキシクリーンは酸素系漂白剤で、皮脂や血液のシミにも使えますが、食べこぼしの汚れを落とすのにも効果的です。
無香料で漂白と消臭、除菌ができます。オキシクリーンをつけると発生する酸素の泡が、汚れを服から分離させ取り除きます。
また、水と混ぜてつけ置き洗いしても、食べこぼしのシミを落とすことが可能です。分量の目安は水500mlに対してスプーン1杯で、つけ置き時間は5分です。
汗の汚れや体臭対策|ワイドハイター EXパワー
ワイドハイター EXパワーは、頑固なシミを落とせる洗浄力に特化したタイプで、汗の汚れや体臭対策にもぴったりです。
同商品の効果は、抗菌や消臭、漂白、つけ置きでの除菌などです。漂白活性化剤が配合されており、布や汚れに対する吸着力が高まるため、汚れを効率的に取り除けます。
使い方としてはつけ置き洗いがおすすめです。水1Lに対してワイドハイター EXパワーを10mlの割合で桶に入れて、服を30〜60分ほどつけ置きしましょう。
排泄物による汚れ|ワイドハイター PRO 粉末
ワイドハイター PRO 粉末は、尿や便、嘔吐物などの染み込んだ頑固な汚れを分解することに向いています。
独自開発の漂白強化パウダーを配合しており、黄ばみや黒ずみ、血液などの汚れがおもしろいほど落ちることを謳っています。
スニーカーや大物衣類、洗濯槽の洗浄にも使えるので、排泄汚れがさまざまな場所についても安心です。
水1Lに対して原液5gを入れてつけ置き洗いすることで、頑固な汚れも落とせるでしょう。
介護での洗濯に関するよくある質問
介護での洗濯に関するよくある質問をチェックして、懸念点をなくしましょう。
よくある質問は次の4つです。
- クエン酸でアンモニア臭を消す方法はありますか?
- オキシクリーンはワイドハイターの代わりになりますか?
- 洗ってもくさい服にはどんな洗剤がよいですか?
- うんちを漏らしたパンツどうしたらいいですか?
クエン酸でアンモニア臭を消す方法はありますか?
クエン酸は酸性のため、アルカリ性のアンモニア臭を中和させて消臭することが可能です。
水200mlに対して粉末クエン酸をスプーン1杯ほど混ぜて、スプレーを作りましょう。汚れた部分に吹きかけると、ニオイが気にならなくなります。
また、クエン酸をかけたあとは、水で洗い流してからつけ置くことで、シミを落とせるようになります。30〜60分ほどつけて、ニオイとシミを完全に除去しましょう。
オキシクリーンはワイドハイターの代わりになりますか?
オキシクリーンはワイドハイターの代わりに使用可能です。
オキシクリーンとワイドハイターはどちらも酸素系漂白剤のため、シミの除去や消臭として使用する分には同じ役割を果たします。
ただし、ワイドハイターには界面活性剤が含まれており、より泡立ちがよく洗浄力が強い特徴があります。
洗ってもくさい服にはどんな洗剤がよいですか?
洗ってもくさい服には、アルカリ性の溶液や酸素系漂白剤の使用がおすすめです。
アルカリ性は酸性を中和させるため、消臭効果が期待できます。それぞれ主に次のような製品があります。
- セスキ炭酸ソーダ(弱アルカリ性の溶液)
- ワイドハイター(酸素系漂白剤)
- オキシクリーン(酸素系漂白剤)
アルカリ性溶液や酸素系漂白剤をシミに吹きかけたり、つけ置き洗いしたりすると、ニオイを落とすことが可能です。
うんちを漏らしたパンツどうしたらいいですか?
うんちを漏らしたパンツの洗濯方法は、次のとおりです。
- 固形物を取り除く
- ぬるま湯か水で水洗いをする
- つけ置き洗いをする
- 洗濯乾燥機にかける
- 除菌消臭スプレーをかける
洗濯時には使い捨てマスクや手袋をつけましょう。汚物にウイルスが含まれており、感染する恐れがあるためです。
その後、マスクや手袋をゴミ袋に入れて処分する必要があります。最後に手を洗って、清潔な状態を保つことが大切です。
まとめ
本記事では介護シーンで服を洗濯するコツや方法、おすすめの洗濯洗剤などをまとめました。
洗濯時には汚れごとに衣類を分けて、衛生状態を保ちながらスムーズに洗えるようにすることがポイントです。
しかし、介護施設や医療現場では、毎日大量の洗濯物が出るため、洗濯にはどうしても手間がかかってしまいます。
そのような方には、手洗い不要で、高い洗浄力とウイルス除菌を行える汚物ミニがおすすめです。
服を80℃以上の熱湯で洗ったり、塩素系漂白剤で除菌したりするため、入れるだけで除菌・消臭などが行えます。
この機会にエレクトロラックス・プロフェッショナルの汚物ミニで、洗濯を効率化していきましょう。